美の世界に見るイリュージョニズム
- 2012.06.05
- 『美の追究』~審美と噛み合わせのハーモニー~
『美の追究』 ~審美と噛み合わせのハーモニー~
1991年から4年間に渡り、歯科の専門誌に『美の追究』というタイトルで、当院顧問の稲葉繁が、審美歯科について連載させていただいておりました。
当院の審美歯科治療は、すべて、このコラム『美の追究』を原点としております。
私たちが考える、審美歯科は、歯を白くするだけの技術ではなく、もっと根本的な審美の法則に基づいております。
このブログを読んでいただいている読者の方にお伝えすることが出来ればと思います。
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稲葉繁の審美修復は『ごまかしのテクニック』 、ほとんどが錯視を応用したものであると言っても間違いないでしょう。
これをデンタルイリュージョンと呼んでいます。
私達が患者様の審美修復をするにあたり、実は、遠近法やだましのテクニックをたくさん応用しています。
今回は、遠近法から学ぶ、デンタルイリュージョンについてお伝えします☆
天才画家北斎も黄金分割や遠近法を巧みに使っています。
『富嶽三十六景』の中にはこのような作品が沢山あり、前景に大きく人物や橋を描き、春か遠くに富士を小さく配置しています。
北斎をライバルとしていたもう一人の巨匠、安藤広重の『深川洲崎十万坪』は、驚くほどユニークな構造です☆
この絵を見る人があたかも大鷹となり、この広い景色を俯瞰しているような錯覚にさせます。
このような浮世絵がのちに海外に渡り、その構図の新鮮さや遠近法の巧みさに驚かされ、ヨーロッパの印象はの画家たちに大きく影響を与えたのは広く知られることだと思います。
これらの作品は、歯科技術に おいても大きな影響を及ぼしています。
こちらはへリング図形で、平行な線が放射線と交差すると平行線は直線に見えず、曲線状にかなり強く変形して見える、という図形です。
平行線は膨らんで見えます。
こちらはブントの図形で、へリングの逆の錯視図です。
平行線は狭窄して見えます。
これらの図形は、焦点を中に集めるか、そとに放散させるかにより、平行な上下の線をどのように錯視させるかを期待しています。
上下の口唇を想像したとき、歯の中心に注意を集中させるか、あるいは唇の上下に分散させるかによって、唇の形と口唇線(唇のライン)に影響を与えます。
1本の歯に惹きつけないようにしないといけません。
自然に唇の周囲と調和をとり、歯を自然に溶け込ませることが、口元を引き締めることになります。
したがって、1本のセラミック治療は、実は大変難しく、口元を引き締めるために沢山の工夫をします。
【遠近法の感覚でとらえる歯並び】
こちらは、ポンゾが1913年に発表した理論で、遠近法を伴う錯視で、大きさの恒常性を錯視させるものです。
黄色い線は同じ長さですが、遠くの方が長く感じます。
このことから、歯並びも同様に注意を払う必要があります。
前歯から臼歯へ移行するに従って、遠近法と同様な現象が認められます。
唇から頬の奥に行くに従い、空間が少なくなり、光も少なくなり、暗くなるので、この現象はさらに現れます。
前歯が大きくてもさほど気になりませんが、奥歯に移行するに従い、徐々に小さく移行させることが大切です。
いかがでしょうか?
遠近法とデンタルイリュージョンについてお伝えいたしました。
次回は、『だまし絵』 を応用したデンタルイリュージョンについてお伝えいたします☆♪
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