プーチン大統領訪日で見過ごされている事

プーチン大統領訪日で見過ごされている事

IPSG Scientific Meeting 2016学術大会が開催されました。

毎年、歯科業界以外のゲストをお招きし特別講演をお願いしています。

歯科の事だけではなく、物事を広く見ることができるように、知識の幅を広げる事は大切な事だと感じます。

今年お招きしたのは、ジャーナリストの小林和男さん。

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【略歴】

1940年長野県生まれ東京外語卒業後NHK記者、モスクワ,ウィーン支局長など海外駐在14年。

海外ウィークリー、NHKスペシャルキャスター。

92年ソ連崩壊の報道で菊池寛賞。

93年ロシアの客観報道でモスクワジャーナリスト同盟賞。

08年ロシア文化への貢献でロシア政府プーシキン勲章。

プーチン大統領と長時間対談した稀な経験を持つ。

解説主幹、作新学院大学教授を経て現在フリージャーナリスト、サイトウ・キネン財団評議委員、FEC日本民間外交推進協会日ロ経済文化委員、日墺協会理事

著書「エルミタージュの緞帳」(日本エッセイストクラブ賞)「1プードの塩〜ロシアで出会った人々〜」「狐と狸と大統領」「白兎で知るロシア」[プーチンと柔道の心]など。

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小林さんのような、素晴らしい方をお招きする事になったきっかけは、先日私が参加させていただいた、パーティー。

コサカ創業60周年記念会に参加しました♪

小林さんのテーブルに図々しく押し掛け

「IPSGの学術大会でお話いただけませんか?」

とお伝えしたところ、素敵な笑顔で心良く引き受けていただきました。

小林さんは NHK のモスクワ特派員としてご活躍されただけでなく、ゴルバチョフ書記長の登場、ペレストロイカ、東西冷戦の終結、ソ連崩壊など、世界を大きく変える歴史の転換期 を、ソ連・ロシア内部から最も至近距離で取材されました。

プーチン大統領のご自宅で単独会見を行った方といえば、ご存知の方も多いのでは?

何よりもお人柄が素晴らしいのです。

すっかりファンになってしまいました。

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「プーチン大統領訪日で見過ごされている事」

プーチン大統領は学術大会の直前12月15日に安倍総理の招きで日本を訪問しました。

11年振りの訪日で日本には領土問題での進展に楽観的な見方も出ていましたが、実は世界の状況を見ると日本の期待と逆行する方向に進んでいるようです。

日ロ関係と世界を考える材料にし、具体的なお話をいただきました。

まさか、このタイミングで小林さんに講演をいただけるなんて・・・

「由里子さん、このタイミング凄いですね!私もお話するのをワクワクしています。」

とおっしゃっていただきました。

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首脳会談の成果について、小林さんは映像をみただけで、沢山の事を推測されていました。

すべてが映像で証明されている・・・と。

2人の会談、記者会談の様子をみて少なくともロシアを知ってる人はこれはダメだったと思っている事でしょう。

ロシア人は、親しい友達とは必ずファーストネームで呼び合います。

安倍さんは、プーチン大統領に対して、ウラジーミルと4回呼びましたが、プーチン大統領は一度も安倍さんの名前を呼ぶ事がなく、

「日本国首相」

と呼んでいました。

そして、目線。

プーチン大統領は、安倍さんがウラジーミルと呼んでいる時、目線を合わせていませんでした。

これは、ロシア人を知っている人にとっては決定的な事。

会談は一方通行だったと予測されます。

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こちらは、事前に小林さんから講演用にいただいたお写真。

プーチン大統領と、小林さんの目線に注目です。

しっかりと目を合わせています。

小林さんは、とても目の力がある方だなぁ〜とずっと思っていましたが、今回のお話で腑に落ちました。

だからこそ、ゴルバチョフやプーチンが心を許し、お話しをされたのですね!

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ロシアの領土問題。

日本がポツダム宣言を受諾して太平洋戦争が終結した直後の1945年8月28日から70年経ちました。

歯舞諸島、色丹、国後、択捉の北方4島。

ロシアがどれだけ領土にこだわるのかは、一筋縄ではないのです。

ロシアの歴史は国土拡張の歴史があります。

黒海の上にあるクリミア半島がキーとなる。

と小林さんは言います。

ここは長い歴史の中、とったりとられたりしています。

18世紀半ばにエカテリーナ2世、ロシアの歴史に残り人物ですが、オスマントルコの支配下にあった、クリミアを独立させました。

2年前までプーチン大統領は日本へ歯舞、色丹を引き渡す事を考えていた証拠がありますが、アメリカがウクライナの反ロ感情を利用し、ウクライナをNATOに組み入れようと思ったため、プーチン大統領は住民投票をして独立を決めさせて併合しようとしました。

クリミア戦争はその後、3年間続きましたがロシアは大敗。

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経済的に非常に厳しくなったロシアは、ロシアの領土を売りました。

「どこを売ったと思います?」

「アラスカでしょうか」

と、大石前会長、さすがです!

720万ドルでアラスカを売ってしまいました。

すると・・・

ゴールドが発掘され、アメリカは得をし、ロシアは大損したのです。

この時のトラウマがロシア人には根付いています。

ロシアは、一度獲得した領土は決して手放しては行けないと、教科書で子供の頃から叩き込まれています。

今年の12月にプーチン大統領は国歌を制定したのをご存知でしょうか?

その内容は、領土を守りたまえ。

というものです。

アラスカのトラウマがあるので、一筋縄ではいきません。

もう一つ見逃していると思うのは、プーチン大統領の性質です。

彼は、徹底した実利主義者で空論を嫌うのです。

プーチン大統領はゴルバチョフをとても嫌っています。

なぜか。

小林さんはゴルバチョフとはソ連の最高指導者になった時からクーデターを起こされ失意のうちに引退に追い込まれた時も後も、何度もインタビューを重ねドキュメンタリー番組を作って来て、その中で知ったのは、彼が恐ろしいまでの理想主義者であるということでした。

新しい思考の外交によって、ロシアがどれだけ被害を受けたか・・・

国土が4分の1も減り、人口も減ってしまいました。

夢みたいな政策をしたためにこのようなことになってしまったと、ゴルバチョフの新思考外交を嫌いました。

今回の安倍さんとの対談で、提案されたのは、「新しい発想のアプローチ」

実利主義者であるプーチン大統領は、こういうのを嫌います。

プーチン大統領は、サンクトペテルブルクのカジノを禁止させたように、やると言ったらやることに特徴があり、現実主義者なのです。

プーチン大統領がトランプ次期大統領を歓迎しているのは、彼が筋金入りの現実主義者だから。

良い悪いは別にして次期大統領の発言はとても具体的です。

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ロシアには、このような歴史があること。

歴史を踏まえて論争しないといけません。

事実を事実と想い、報道に接して頂きたいと思います。

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今回の日ロ首脳会談を、こんなに深く分析されている小林さんは凄い。

と、思いました。

私達は歴史を勉強し、今報道されていることを鵜呑みにせずに考え、行動することの大切さを学ぶことができた、素晴らしい講演でした。

小林さん、旬な情報をメールマガジンで発信していらっしゃいます。

私も頂いているのですが、とても貴重な情報ばかりです。

メールマガジンをご希望の方は、お名前とメールアドレスをこちらまで送って頂ければと思います。

↓ ↓ ↓

inaba@inaba-shika.com

来年3月、小林さんがナビゲートするロシア旅行が計画されているようです。

音楽会や食事会など贅沢な旅(小林さんがおっしゃるには、合宿。笑)だと思います。

私も行ってみたいな。

さて。

今年の締めくくり、素晴らしい学術大会を開催することができました。

お集りいただいた皆様、本当にありがとうございました。

後日、会員の先生方の発表、榊原先生の教育講演、またパーティーの模様などをお伝えしたいと思います!!